『ならば、杏はもう少し様子を見た方がいいな。ちょうど、紫に心を奪われているようだし』
ニヤニヤと紫を見る
「は…?!」
驚愕している紫。
1000年たっても、鈍感さは変わらないみたいだ
「決まりだな!紫は杏を、オレは響古の周囲の人間を偵察しよう!!!」
「では私は他の式神の居場所を探そう」
「いや、ちょっと、待て!!!!!俺はあの女が苦手だ!!!」
『いいではないか。紫。これも人生経験だ』
笑を堪えながら楓が説得する
紫は昔から、
主人…鈴と式神以外の周囲の人間を信用しないし、関わりもしなかった
だから、あの時代
鈴が村人に一度だけオレ達の姿を見せたときがあった
紫は、あの容姿だから
案の定女達には人気だった
本人は、かなり拒絶していたけど
その様子がおかしくて、
オレや、他の式神たちと
腹を抱えて笑ったんだ
…なつかしい、あの時
だから、紫が信用し、
心から慕っているのは
鈴だけだ
「…響古は、どうだ?」
それとなく、触れてみる
『純粋な、清い乙女だと思う。霊力に関して、まだ劣る部分があるが、それ以外は、殆ど…鈴姫に近い』
楓が微笑みながら語る
この様子だと、
響古を受け入れ、認めているに違いない

