鈴の音が響く頃


「主人に術をかけることは禁じられている。でも、その周囲の人間には可能だ。…こうして自由に歩き回るためには、杏って子には悪いけど、こうするしか方法がないからね」


「悪い、なんて思ってねぇ癖に」


べっと、舌を出す


「そんなことはないさ」

クスリと、紫も笑う




『…ここに居たか』



声のした方を振り返ると、
地主神…楓がいた


オレ達は事前に、
この時間、この場所で合流する約束になっていた

…響古には秘密で



『全く、こんな悪巧みを考えおって…主に対する違反だぞ』

「しょうがないだろ。」

はーっと、ため息が漏れる

「この時代の事を知っとかないと、いざ戦闘になったときに困るだろ。」

「こうでもしないと、響古の監視からは逃れられないからね」


紫もオレに加勢する


「それに楓。違反と言いながらも、結局お前はこうしてここに来た。…ということは、同罪だ」


ニヤニヤしながら楓を指す


『う…今回は、特例だ。響古を守るためには、こうする他ない。それに我々には、情報が少なすぎる』




そう
オレ達がここに集まったのも、情報収集が目的だ


響古から得られる情報は少ない
ならば、自ら外の世界に踏み要らねば、
知ることも順応することもできない