鈴の音が響く頃


「勘違い?」

「心霊現象だよ。噂になってるやつ。あれ、ここの生徒の嘘だってさ」


…だってさ?



くるっと向きを変え、校門に向かい、帰ろうとする


「ちょ、どういうこと?!」


私は全く状況がつかめない


「言ってたじゃん。…もしかして、聞いてなかった?」

「はっ?えっ?」

「説明してくれたじゃん。すごく、綺麗な人だったね」



…意味が、わからない


「響古?何いってるの?綺麗な人??」



…ここらへんから、嫌な予感がしていた



「そうだよ。青っぽい、長いドレスみたいなの着てて、髪も長くて綺麗で…あれ、もしかして杏、他の人みてた?」

「………」

「まあ、確かに結構人数はいたからね〜。あの場所は、"気"が強いから、免疫がない人は、ちょっと当てられちゃうんだってね」


「き、響古さん?」

「う?」


くるっと、私の方を向く


…ホントに無邪気な表情で



そして私は、嫌な予感が的中している気がして仕方なかった



「あのさ…さっきから、何言ってるかさっぱりなんだけど…」

「ふぇ?」

「私には、誰も、何も見えなかったよ?」

「うっそだぁ!!!!」


あはは とお腹を抱えて笑う


「いや、響古、マジで…!」

私に余裕がなくなってきているのが、
よく分かった


これから響古に、"能力"を自覚させるために、3時間ほどかかってしまったことも、
今でもよく覚えているよ…