鈴の音が響く頃


「行ってみようよ、杏」

「は?」




正直、ほんとに驚いた


「確かめてみたいの」

「なにを?!」

「怪談の、真相」



窓の外から見える旧校舎を
ぼんやり見つめる響古の横顔が
とても凛々しくて
そして力強い意思を感じたのを
今でも覚えてる



響古は、芯が強い


今までそんなに感じなかったけど、
この時改めて思った

いつも人の意思を優先するところがあったけど

曲げないところは、絶対曲がらない

だから、旧校舎へ行くのも
響古が自ら行きたいと言ったから
絶対行くんだろう


…それとも、
相手が私だったから、
響古が私に心を開いてくれたから、
言ってくれた、響古の
わがまま…だったのかな



「…私が行かないって言ったら、一人でも行きそうな勢いだね」

「だって、確かめたいから」

「わかったっ!ついてくよ」

「よかった!せめて杏にだけでも、誤解が解けると嬉しいよ〜」


胸に手を当てて、
嬉しそうに笑ってて


でも、なにが言いたいのが、よくわからなかったね。
…この時は