「杏ちゃん。ありがとう。助かったわ」
先生に頼まれていたプリントを渡すと、とても嬉しそうに微笑んだ
「いえ。とんでもないです。それじゃあ、失礼します」
軽く頭を下げて、職員室の扉を閉める
「…はぁぁぁ…」
思わずため息が漏れる
私はいったい、どうしてしまったのか
あれから
あの、郊外学習の日から
目まぐるしく、何かが変わった
始まりは、
響古の能力
あの子は、今の今まで
自分に特殊な力があることを理解していなかった
人に見えざるものが
あの子には視える
幸いだったのが、
その事を誰にも言わなかったこと
あの子は昔から、
自分の事はあまり話さない所があった
まあ、私としても
ベラベラ喋るヤツは好きじゃなかったから、
仲良くなるのは早かった
響古は、あまり自分の話はしないけど
あの美貌と
性格の良さで
友達はたくさんいたし、
だれからも好かれていた
そんな響古は、私の憧れだ

