鈴の音が響く頃



「…っぶねぇな!!!!!」


聞こえたのは、
紅の声


倒れて、私…



「えっ?」


いたく、ない


痛みは全く感じない

ただ、体勢が



「なにやってんだよ。バカ響古。しっかりしろ!」



紅が、私の上に馬乗りになっている…


私の体は寝そべっている状態じゃなくて
頭を持ち上げられていて…


とにかく、紅の顔が、近い

「っきゃあぁぁ!!!!」


ドンッと紅を突き飛ばす


私は思い切り力を入れたハズなのに、
紅はびくともしなかった



「お前な、あのまま倒れてたら、地面に頭を思いっきりぶつけてたぞ。」


床に座り、腕を組ながら溜め息を漏らす



…ってことは、紅は私がケガしないように
馬乗りになって、私の頭を抱え込むようにして…
守ってくれた、のかな?


って、いうか



「な、なんで人に戻ってるの?!?!?!」


さっきまでマスコットサイズだった紅が…

普通の人間の大きさに戻っていた
いつのまに…!

っていうか、人に戻っていたから、私を守れたのもあるけど…


「お前の感情が乱れたからだ」


あぐらをかいて、偉そうに座りながら呟く


「感情…?」

「お前とオレたちは、契約はしたが、まだ霊力の波動が一致しないし、強さもまばらだ。お前の一定しない霊力は、その感情に影響されやすくなる」

「ふむふむ。」

「で、オレはずっとお前に術をかけていた。"元の姿に戻すように"ってな。」



…呆れた
わざわざ私に術をかけてまで元に戻ろうとしていたなんて



「で、お前の感情があらぶった時にオレの術の効果が発動し、元に戻ったっつーわけだ!!!」


バッと立ち上がると大きく背伸びをする

黒い着物と赤い髪がやけに派手に見える


ツンツンした髪も、背伸びに合わせて揺れる