鈴の音が響く頃


「ふ、普通ならどうするの?!」


「普通なら…」


紫さんが腕を組、考えるそぶりをする

…そのすぐ横、
振り向けば、紫さんの胸元辺りに顔がつくであろう距離に、
杏がいる。



「あの時代だったら、俺達の姿を見たものの記憶は消していた。敵国の場合は、消す」


「消す?!?!」


「…消されるのかぁ」



私が叫ぶのとは逆に、
杏は落ち着き払っていた


「だ、ダメダメダメダメ!!!ぜーったいダメ!!!!!」


「じゃあ、この子をどうしたいの?」


紫さんが
チラッと杏を見る

…ちょっと厳しい目だ



「杏は、本当に信頼できる人なの!!!絶対に裏切らないし、約束も守る!!!悪い人じゃないよ!!!!」


「おまえっ…」


紅が、一瞬すごく驚いた顔をしたあと、悲しげにうつ向いた


「紅…?」


「…今の言葉ね、鈴姫も全く同じことを言ったんだよ。…椿の時に」


「えっ…」


「なになに?どうなってるの?何の話してるの?」


杏が不思議そうに私を見つめている



「お前、むかつくくらい、鈴と同じなのな」


呆れたように紅が呟く


「ご、ごめん。でも…」


『キョウコの気持ちは良く分かった』


楓ちゃんがふわっと、私のとなりにくる