「よかった…杏…」
ほっと、肩を撫で下ろす
『では、キョウコ。これを』
楓ちゃんの所からふわっと、光る何かが飛んできた
よく見ると
「これ、さっきの水晶?」
キラキラと光る
透明な水晶
サイズはビー玉くらいで
特に飾りがついているわけではないけど
すごく存在感があって
惹かれるような…
『これが、式神を統べるものが持つ宝玉。
鈴姫の遺品だ』
「それがあれば、俺達式神をいつでも呼べるし
そして好きなように扱うことができるんだよ」
紫さんがにっこりと笑う
「式神って、紅と紫さん二人だけなの?」
「いや、他に―…」
紫さんが急に口を閉じた
「…?」
「そーいや、あいつらは?」
紅がきょろきょろと辺りを見回す
『…ここには、いない』
楓ちゃんが、妙にうつむいて
悲しそうに呟いたのが
とても、印象的だった

