『椿はその夜、反乱を起こした。
そして鈴姫に要求した。
村人を助けたければ、
その力を寄越せと。
そして、お前は死ね、と…』
「それで鈴姫は、あの祠で…」
『そうだ。自分が死ねば、
式神も力を失う。でも
それはダメだと。
式神との契約も果たせないまま死ぬことは出来ぬと。』
「契約?」
ちらっと、紅と紫さんを見る
…眉間にシワを寄せて、
複雑な表情…
『こやつらには、ある願いがある』
「願い?」
『そう。その願いを果たすことを条件に、鈴姫の式神になった』
「へぇ…」
あんだけ騒いだ紅が、
そっぽを向いて目を合わせようとしない
きっと、言いたくないことなんだろう…
式神の願い…気になるけど、私が口を挟むことでもないかな
『だが、鈴姫は死ぬ。約束を守れないまま。それが苦痛で仕方なかったのだ。
だから、"その時"がくるまで、式神達に霊力の殆どを注ぎ、力を無くさぬよう封印した』
「じゃあ、いま俺達がこんな姿なのは…」
『鈴姫がお前達に与えた霊力が限界に達してきている証拠だ。
なにより、あれから1000年。時が来るのが遅すぎた』
「ねえ、楓ちゃん…
"その時"って?」
『今だよ』
楓ちゃんが、
ひたと私を見つめている

