中学も三年に進級し
クラスメイト達が皆高校受験に向けて準備をしはじめた頃私は相変わらずしいちゃんと一緒にいた。
正確に言うとしいちゃんとしいちゃんと一緒にいたい子が集まったかたまりに所属していた。
一緒に授業を受け昼休みは机を並べて昼食を取りテスト前は学校にのこって勉強会と言う名のおしゃべり大会を繰り広げる。
おしゃべり大会の内容は先生の陰口から高校どこにしようかな、なんて進路の話など様々で。
誰と誰が付き合っている、だとか今誰々君とメールしあってていい感じ、なんて恋愛の話もよく出ていた。
私はと言えば、やっとできた友達と一緒に過ごすことが楽しく幸せで満たされた気持ちで恋愛にまで気持ちが向かなかった。というより、恋愛というか好きな人ができるといったことがよくわからなかった。同級生に比べて随分と子どもだったと思う。
だから恋愛の話になると特に聞き役に徹底することしかできなかった。そのことになんの不満も感じなかったが、彼氏ができた子が増えるにつれて話題に入っていきずらさを感じていた。
そんな時、しいちゃんも同じように気まずそうな顔をしていた。
しいちゃんと二人の時になんとなく聞いてみると人を好きになったりイマイチよくわからないんだよね、と言う。
しいちゃんは可愛くてスタイルも性格も頭もよくて当然同級生から先輩後輩、更には他校生まで幅広くモテていた。
しいちゃん達とあそびにいくと決まってしいちゃんは知らない男の人に声をかけられていたし、しいちゃんがよく男の人に告白のため呼び出されるのを何回も見たことがある。でもその度、しいちゃんは困ったような顔をして、付き合いの申し出を断っていた様子だった。
相手がどんなにかっこいい先輩や優しい同級生でも皆同じように申し訳なさそうな顔を浮かべて告白を断っていた。
