しいちゃんが転校してきて
クラスの雰囲気が少し変わった。

私は小学校でのいじめと中学に入ってから今まで空気でいた経験からか、誰よりも敏感にクラスの雰囲気の変化に気づけていたと思う。

雰囲気の変化に敏感でもそれを活かせず、空気から脱出できないのだから笑えてしまう話だけど。

最初、私がクラスの中心なのよ、と言わんばかりに手下のような友達を引き連れて威嚇のように自己紹介をしていたの藤沢さんにはあきれてしまった。

しいちゃんはそんな藤沢さんの挨拶にも動じてない様子で笑顔でよろしくねと答えていた。

友達の居ない私には想像することしかできないのだけれど
いてもいなくてもわからないような私みたいなのが居るように
居るだけで人の感心を集めて中心になってしまう人が存在するのだ。

しいちゃんはいつの間にかクラスの人気者になっていた。もう少しすると学校中の人気者になっていた。

しいちゃんが来るまでクラスの女王さまのように威張り散らしていた藤沢さんが、しいちゃん、しいちゃんとぺったりと彼女の隣をついて回ってた。

しいちゃんはどんな時でも誰といてもニコニコ楽しそうにしていた。

しいちゃんはきっと誰のことも嫌ったりいじめたりなんてしないだろうけど

みんなしいちゃんにだけは嫌われたくなくて必死に見えた
しいちゃんはクラスの空気の私にも、他のクラスメイトと変わらずにこやかに接してくれた。

みんなしいちゃんの真似をするように私のことを空気としてではなくクラスメイトとして扱ってくれるようになった。