しいちゃんが転校してきたのは1学期が終わるか終わらないかの頃

暑い日でエアコンのない古い木造校舎は何もしないで座ってるだけのホームルームの段階で汗だくになった。

なんでかよく覚えてる。

クラス中が暑さで前髪がべたつくなか、しいちゃんは先生の後について教室に入ってきた。その瞬間マンガやドラマみたいにクラス中が息を飲んだ。
そんな雰囲気に気づいてないのか緊張してるのかはにかんだような少し赤くなった笑顔でしいちゃんは言った。

父親の転勤で今日からこの中学校にかようことになりました。よろしくお願いします。
息を飲んだのは一瞬でしいちゃんの挨拶を聞いた
男の子達の喜ぶ声と
女の子達の嫉妬とこの子には敵わないと言った諦めが混じったような声でクラスがどよめいた。

私は本当の美人はこんな暑さでも本当に汗をかかないんだなあとどうでもいいことを考えていた。