「この部屋で、もっ…も~う好きなだけ、明日の夜まで歌ってちょうだい!!」
疲れ切った表情の店員、額から流れる脂汗が止まらない。
カラオケ店の各部屋の壁はしっかりとした防音壁で出来ている。
はたまた、何を叫び出すかわけの分からないヒヤヒヤ者の女子高生をいち早くこの部屋へとにかく入れたかったのだ。
――防音壁で出来ているこの部屋へあの子を入れてしまえば、もう何を叫ばれようが、店の外に声がもれる心配がない!
店員がマイクの入った白いカゴを二戸 梨杏に渡す。
二戸 梨杏が白いカゴを受け取りぺコリと頭を下げてお辞儀をし「さっきは、『キモイ・ヘンタイ!』と叫んでごめんなさい」と店員に素直に謝る。
見かけによらず意外と素直じゃないかと思った店員。



