――生徒指導室にいる中村先生と二戸 梨杏。






緊迫した空気の中で中村先生はある1つの決断を二戸 梨杏に出そうとしていた。







小さな机に向かい合うようにして座っている中村先生と二戸 梨杏の2人。







中村先生が足を組み直した後に重い溜め息を「はっー」と1つゆっくり吐き、二戸 梨杏の顔をじっと見ている。






「今度、家庭訪問をさせてもらうよ。今後の事について、一度家の人とじっくり話がしたいから」




「……えっ!?」




気まずい顔をする梨杏。



なぜなら、高校へ入ってから両親がずっと家にいない事を先生や友達にはずっと秘密にしてきていたからだった。




親の事を誰かに聞かれれば―、今まで上手く惚けて・誤魔化してすり抜けてきた。





―先生が、家に来る!




頭の中が真っ白になっている、二戸 梨杏。




心の中で「ゼッタイニ、ありえなーーい!」と叫んでいた。