二戸 梨杏の机に両手を置いてしゃがむ中村先生。
ひそひそ声で二戸 梨杏に話しかける。
「おっ・そい・ぞっ!」
「えっ。まだ、誰も来てないよ!?」
周りをキョロキョロと見渡す二戸 梨杏。
「違う。俺が計算をしていたよりもお前が学校に到着する時間が5分も遅いんだ。いったい、何をしていたんだ?」
二戸 梨杏がスマホを取り出し、写真の画面を出す。
「学校に来る途中、写真を撮っていたの!ええっと…、緑色の芋虫でしょ。それから、それから…、ほらっ、渡り鳥の群れの写真!それから…、……」
カクンと首を落とす中村先生。
「ったく、お前は……」
「先生、喜んでくれないの……?」
「また、その話は学校から帰ってからゆっくりと俺に聞かせてくれ」