急に雷の大きな音がする。
――ドカンッ!!!
建物が振動して、部屋の中の明かりが全部一瞬にして消える。
歯ブラシを持ったまま目をキョロキョロとさせて固まっている二戸 梨杏。
確実に、このマンションに雷が落ちた。
暗い、いや…、目の前が“黒一色”!
――先生、先生、どこにいるのー!
玄関の方から中村先生の小さな声が聞こえる。
「おいっ、小春、大丈夫だったか?」
今度はリビングの部屋の隅の方から――。
「ポチとタマも、大丈夫そうだな!よしっ」
「ワンワン・ニャーニャー」
懐中電灯も持たずにウロウロと歩いている中村先生、部屋の配置は頭の中でしっかりと把握をしているから暗闇でも何の問題もない。
洗面台にいる二戸 梨杏の所へ戻ってきた中村先生。



