「後で、二戸の家族写真をリビングに飾ろう」







二戸 梨杏の顔つきがきつくなる。






――私の家族写真。






「飾りたくないっ!」






だって、お父さんもお母さんも、好きじゃないから。






寂しそうな顔をする二戸 梨杏。






「ごめん、お前の気持ちを考えてなかった――」







“家族写真”は二戸にとって必要な物なんだと思って持って帰って来たけれど。







――俺、そういうとこ鈍感で、ダメな人間なんだ。








「家族写真は私の気持ちが落ち着くまで先生が預かっていてくれませんか…?」







「わかった、預かる」






――俺の預かる物がまた増えたな。






二戸の化粧道具に家族写真。






お前が辛いと思う物は、全部俺が預かってやる――。






まだ、あるんなら遠慮なく俺に言えよ。