椅子に座って中村先生を直視し返事をずっと待っている二戸 梨杏。
――二戸に聞かれても、本当にわからないんだ。
「言葉が見つからないぐらい、すっぴんのお前の顔が可愛いんだ―!」
……あっ、言ってしまった。
二戸 梨杏の顔がポッと赤くなる。
「先生………」
――また、二戸に負けた。
完敗続きで悔しいな――。
ニヤニヤしている二戸、“すっぴん”を褒められた事がそんなに嬉しいのか。
「ねぇ、先生。後で、私のメイク道具を全部預かってよ!」
「えっ、俺が!?」
――俺、化粧をする趣味はないぞ。
「もう、メイクするのを止める!」
――私の“すっぴん”褒めてくれたの先生が初めてだから。