普段着の楽そうな服装に着替え、両手で顔を隠し、ぜんまい仕掛けの人形のように歩いてキッチンのテーブルに向かう二戸 梨杏。






――すっぴんの顔なんて、絶対に恥ずかしい……―。







不思議そうな顔で二戸 梨杏の事を見ている中村先生。






――あれで、ちゃんと前が見えてるのかよ!?







「両手をおろして、早く椅子に座れよーー」







顔を隠している両手の間からヒヨコの口のような二戸 梨杏の唇が動く。







「だって、すっぴんだもん!」






中村先生が笑った。







「お前の顔が“のっぺらぼう”だったとしても俺は絶対に驚かないよ!」






――“すっぴん”って、そんなに気にする事なのか!?





俺は、男だからわからない!





なぁー、早く、晩飯を食べようぜーーー。






お腹がすき過ぎで少々イライラ気味の中村先生。