二戸 梨杏は着替えを済ませる為に再び寝室へ。






中村先生は椅子に座りキッチンのテーブルでグツグツと煮えるすき焼きの鍋をじっと見ていて、早く二戸 梨杏が来ないかと待っている。






――さっきの二戸 梨杏の嬉しそうな顔が中村先生の頭の中で蘇る。







「俺をからかうなんて、まだ百年早いんだからなー!アイツ……」








――二戸に『先生、今、少しドキドキしてたでしょ!!』って、言われたけれど。







ドキドキはしなかった。







ただ、だけど…、ファスナーを持つ手が若干汗ばんで、緊張をしていたのは事実だ。







自分の手の平を見つめる中村先生。








もしかして、俺は二戸を“女”として意識をし始めているんじゃないんだろうか。







まさか、ない、ないっ――!!








でも、“ない”と完璧に言い切れるんだろうか?







二戸が自分の家に来てからの行動を振り返る。