中村先生が思いついたちょっと意地悪な用事。







まあ、考えたと言っても、せいぜい小学生並みのレベル。






「二戸、ジョウログモが止まっているこの木の枝を今すぐ外のベランダに出してきてくれないか?」







二戸 梨杏に木の枝をほらっと差し出す中村先生。







手を後ろへ回して困っている表情の二戸 梨杏。







――どうして、私が……。





クモが苦手なのを知っているくせに……。






意地悪な先生――。






更に顔色が曇る二戸 梨杏。






「いやっ、絶対にイヤだもん!」







――ほらっ、やっぱり、断った。







まだ、少し粘る中村先生。






「ならっ、この木の枝を床に置くぞ?」






下唇を噛んで泣きそうな表情をしている二戸 梨杏。






――やべっ、ちょっとやり過ぎた、度が過ぎた。





ゴメン、ゴメン……。