「で、荷物の量は多いのか?」
「そんなに。少し大きめのスポーツバックが1つあれば、私の身につける物は全てまとまって入ると思います」
「そうか、意外と少ないな。じゃあ、俺のスポーツバックも一応持っていくとするか」
二戸 梨杏が自分の家の鍵を中村先生に手渡す。
「これ、私の家の鍵です」
「サンキュウ。2時間以内に戻るから。じゃあ、留守番をしっかりと頼むぞ」
「はいっ!」
空のスポーツバックを体に斜めにかけて玄関の扉を出ていく中村先生。
――先生、気をつけ行ってね。
一人になると少し心細いけれど。
私、先生が早く帰ってくるの、ここでずっと待ってるからね。



