晴れ時々@先生の妹【第1巻】





「いや、飼ってないよ。犬と猫は好きだけど、どっちも毛のアレルギーがあるから俺は飼っていない」






――じゃあ、梨杏の空耳?私、かなりの重症かもしれない………。







真剣に悩んでいる二戸 梨杏。






中村先生の視線の前を何かが跳びはねながら横切っていく。






ピョンピョコピョーーン。





糸の様に細くて長い2本の触覚、光沢のある茶色い背中、切れのあるジャンプ力。





それほど大きくないつぶらな体。







「おいっ!コラッ、跳ぶな、待てよ!」







中村先生が両手を伸ばして捕まえようとするが…。





跳びはねる、跳びはねる。





――何が、跳びはねているんだろう?






中村先生の背中から顔を少しだけ出して興味深く見ている二戸 梨杏。






「先生、……ゴキブリ?」




中村先生が小さく顔を横に振る。