――考えただけで背筋が凍る。
怖いと思った二戸 梨杏が中村先生の背中に隠れて先生のシャツを両手でギュッと強く握る。
「先生、………コワイ」
「何が、怖いんだ……?」
「こ、こっこここ小春が…怖いです!」
3階到着、エレベーターの扉が開く。
301号室、中村先生の部屋に着いた。
明かりが付いていなくて真っ暗な玄関。
「飛びついてくるようなヤツじゃないから、そんなに怖がるなよーー」
「先生、お願い。玄関の明かりを早くつけて下さ~~い!!」
目をギュッと固く瞑ったまま中村先生の背中にペッタリとくっついて離れない二戸 梨杏。
「なー?少し離れてくれないか。玄関の電気のスイッチが、つけられないって……」



