校長先生の汗の香とはしらず、二戸 梨杏の頭の中はお花畑でいっぱいになっている。
「もういいよ、目を開けて――」
二戸 梨杏がゆっくりと目を開ける。
「先生、何してたんですか…?」
中村先生が黒く汚れた白いハンカチを二戸 梨杏に見せる。
「ほらっ。お前の目の周りがパンダになってたから」
――私、涙を流して泣いたせいでアイメイクが全部流れたんだ。
恥ずかしい……。
だけど、中村先生の優しさが凄く嬉しい。
さらっと優しいところが梨杏の胸をキュンキュンさせる。
思わず先生の腰に手を回してギュッと抱きつく二戸 梨杏。
ハッ!と驚く中村先生。



