2人で星空が似合う真っ暗な空を見上げるとまん丸な綺麗な月が出ていた。
帰り道、薄明かりの街頭の下で二戸の顔を見てドキッとした。
いや、ゾクッとしたと言った方が正しいかもしれない。
「二戸、ちょっと待って。俺のそばにおいで」
「ん!?」と少し驚いた表情の二戸 梨杏が中村先生に振り返る。
「もっと、…もっと俺の近くに早く来て」
手招きをする中村先生。
ちょこちょこちょこと歩いて中村先生に近づく二戸 梨杏。
「先生?これぐらいでいい?」
「もう少しだけ、こっちにおいで」
「えっー!近すぎない?先生、この距離!?」
「二戸 梨杏、少し黙って目を瞑ってろ」
「どうして、――先生?」
「いいから、黙って目を瞑って……」
言われた通りに静かに目を閉じる二戸 梨杏。



