中村先生が二戸 梨杏の手錠をそっと外した。
「…ありがとう、先生」
二戸 梨杏がしょんぼりした声でお礼を言い、床からゆっくりと立ち上げる。
そばにいた警察官の松本が女子高生の顔を見て思わず名前を叫ぶ。
「た、たしか君は…、この間、つけまつげを2ダースも盗んだ二戸 梨杏ーー!」
中村先生が落ち着いた雰囲気で後を続けて話す。
「本当に常連で申し訳ないです。今回の事は出来るだけ穏便に片づけたいのですが……」
「いやー。そう言われても、いつも甘く見てるから今回もこんな事に……。料金の未払いの件はどうするんですか?」
「俺が代わりに支払います!」
「じゃあ、後は身元引受人はどうするだね?」



