警察官の松本が無線で部下に連絡を入れる。






「手錠の鍵を忘れたので、至急こっちへ持って来て欲しいんだけど。うん、30分かかる。よし、分かった、よろしく!」






二戸 梨杏の真横にいる店員が赤い顔をしてガタガタモゾモゾと何だか落ち着きがない様子。






「ねぇ、店員さん、どうしたの?」




二戸 梨杏が小声で店員に声をかけた。




「どうも…、こうも…ないよ。俺、トイレに行きたくってさ!手錠が繋がれたままだと、ほら…、行きたくても、行けないでしょ?あー、もうっ!」






「もう少しで、手錠の鍵が届くよ。30分だけの我慢だから、頑張ってよ!」





「もぉっー、無理!絶対に無理!」





「ごめんなさい、私のせいで…。でも、私、店員さんと一緒に男子トイレに入る勇気がないから……」




「…………………。」




クゥッーっと下唇を噛んでトイレに行くのを必死に我慢している店員。