俺の席の前。

空いたまま。



俺の音楽室の隣。

空いたまま。




お前の顔なんて忘れそう。


メールも返ってこないし。




なんなんだよっ…?



早く学校に来いよ。


俺が学校に来る意味がねぇじゃねぇか。


お前のいない学校なんて意味がないんだよ。



俺は、お前に会いに学校に来ているようなもんなんだから…





ひたすらひたすら、つまらねー学校にいる俺。


お前が来ると信じて、学校に来ててよかったって思えた。


今日だけは…。




体育の授業を終え、拓海と体育館から教室に戻ってきた。


バスケをして走ったから汗をかいた。


体操服の袖で汗をぬぐう。



机の上に脱ぎ捨ててある制服を着ることにした。


シャツに腕を通し、目に入るのは前の机。



埃だらけになっちゃうんじゃねーかなぁ…そんな心配をしてしまう。




「ねっ」


声を掛けられ、隣には琉那が立っていた。



「琉那は颯を応援してるわけじゃないんだからね?」



「…は?何が?」



琉那は急に意味のわからないことを言ってくるやつだ。


翼のことをよく聞いてたりして、俺は琉那と仲良くなった。

嫌な顔をしながらも、いろいろ教えてくれる。



「今から、音楽室行って」


やけに真剣な顔の琉那。



「なんで?」



「琉那は翼を応援してるんだから。お願いだから言うこと聞いて!」



「だから、わけがわからねーんだよ?」



「もう!なんでわかんないの!?」



わからないけど、琉那がキレ出した。


呆れて溜め息をひとつつき言った。



「翼が来てる」