琉那のやつ…露骨に嫌な顔をしながらポケットからケータイを出した。
「いくよ？」
赤外線送信完了。
「あ〜…これだと、翼メールしてくれないと思うよ？」
琉那は画面に釘付けになりながら溜め息をはいた。
「なんでだよ？」
「このアドだとねぇ〜…」
眉間にシワを寄せ、顔がババァになってんぞ。
琉那。
「ほんとに、鈍感ちゃんなんだね。まぁ一応渡しとくから」
そう呟きながら自分の席に着いて行く琉那。
鈍感ちゃん？
これじゃあ、翼が俺のことを好きみたいじゃねーか？
あんなに怒鳴り散らされたのにか？
俺は…
学校に来ないヤツを待っているのは…こんなに寂しいのか…
そんな感情を初めて知った。
ただただケータイを握りしめ、ぽっかりと空いている翼の席を見ていた。
