「なんだか、あの人の言うこと成すこと全てにお金が絡んでいる気がする・・・」
「そうですかー?」
――――ポンッ
「ぎゃあっ!?」
手に持った請求書の束が声がした途端鳩に変わった。
びっくりした・・・。
「・・・・・・あの、何ですか突然・・・」
私は狭い室内を飛び交う三匹の鳩をぼう然と見ながら、入口に立つ男の人にたずねた。
すると一羽の鳩がその男の人が差し出した指にとまった。
「だって、払いたくなさそうだったじゃないですか。だから消してみました∨」
にこにこと笑いながら言った男の人の名はカナト=ササクラさん。
東洋人で、漢字で書いて篠蔵奏都だそうだけど正直難しすぎて未だに書けない。
「これで払わなくてすみますよ?」
その時私の頭に残りの二羽がとまった。
やめてくれ私の頭は止まり木ではないんだ。
「・・・相変わらずスゴいですよねカナトさん」
実はカナトさん、なかなかの腕前をもつマジシャンなのだ。
それはもう魔法なんかじゃないかと思ってしまうほど。
「でも請求書は返してください。払わないと」
「じゃあ文句言わないでくださいね」
「・・・・・・・・・・・・(えー)」
マジックも充分スゴいがこの人、髪色が銀色という東洋人には有り得ない色素をした人なのだ。
この国にも金髪はいるが銀色はそうそういないぞ。
ましてやそれが黒髪が基本の東洋人だったのだから二回も出身国を尋ねてしまった。