白黒の道化師






「え!?じゃああそこのケーキって賞味期限切れを使ってるの?」

「そうそう!モナカがバイトしてたから確かだよ。ね?」

「言うなって言われてたけどさ、普通黙ってるなんて無理でしょう」

「だろーねぇ。言いたくなっちゃうよそんなの」





数分世間話をしてすっかり三人と打ち解けた。そろそろ良い感じかと切り出す事に。





「そういえばアシスもそこのケーキは怪しんでたなぁ」

「あれ?アシスと知り合いなの?」

「うん。アシスがいるからこの大学に転学しようと思ったんだけど……ね、アシスなんか悩んでたりしたの?いきなり行方不明なんて」





うーん、と三人は顔を見合わせる。





「これといった感じはないよねぇー」

「そうそう。なんか、アシスがいなくなった頃警察が来てさ、その時もとくにーって」

「強いて言うならテストの点数が低かったって言ってたくらい?去年ぐらいから成績が伸び悩んでるみたいでさ」





成績は警部が言ってた通りだ。





「去年ぐらいから?アシス、オーケストラ部に所属してたけど、関係あるのかなぁー…」

「んー…あるんじゃない?アシス、プロ目指してオーケストラ部に入ったし。ただ、アシスに両立は無理だったみたいだけど」

「今年のコンクールも、ソロパートもらえなかったみたいだしねぇ」

「えー、そうなの?アシスいつも練習頑張ってたみたいなのに」





なんて言うが知らない。

ただ、警部からは練習熱心だったと聞いていたからそう合わせると、どうやら本当のようで三人は頷く。





「頑張った分悔しさもあるからねー」

「でもメンバーに選ばれただけでも良かったって言ってはいたよね」

「ソロパート奪われたのが年下ってのが悔しかったんじゃない?ほら、アシスさ………」





間を開けたその子に私たちは身を寄せる。





「先生と付き合ってたじゃん?まだみんなは知らないけど、先生…年下の子と浮気してたみたい」

「え!?それマジ?」





隣で小声で驚く子は年下の子と浮気に驚いたのだろうが、私は別の意味でビックリだ。

確かにアシス・ケラントさんには恋人がいたが、それは隣町の大学に通う男だと聞いた。





「まあ、アシスも本命はともかく浮気してるから、落ち込んじゃいなかったけどさ」

「家出するには安すぎる理由だもんね。あ、ティア。誰にも言っちゃダメだよ。アシスだって私たちにしか言ってなかったから、警察にも言わなかったんだし」

「重要性があるなら流石に言ったけど…なさそうだしね」

「わかってるよ…でも、先生って誰かな?アシスには大学で顔を見せてあげるって言われて、結局知らないの」

「音楽のルーロ先生よ…って言ってもわかんないか。まあそのうち会うよ。入学するでしょ?」

「まだ考え中かなぁ」





入ったら大変な事になってしまう。

まず歳からしてダメだ。





「えー!入りなよ。ティアと同じクラスになると思うし」

「楽しいよこの大学」

「うん。前向きに考える…っと、そろそろ戻んなきゃ。またね」

「ちゃんと入ってねー」

「またねー」





ちょっと後ろめたく思いながらもその場を離れる。

ああ、騙してるみたいで申し訳ない。

ごめんなさい悪気はないんです全てはカナトさんが……いや、根源は警部か?私か?