アシスさんの行方不明現場は大通りから少し離れた小道だった。それでも周りにはお店や家もあるし、人気のない場所とは言い難い。
「ああ……ほら、アシス・ケラントが行方不明になった日は、遊月の日だったでしょ?だからみんな夜には家に閉じ籠ってたんだ」
遊月の日…人ならざる者は普段は月に住み着いているが、その日ばかりは夜になると地上におりて好き勝手すると言われる日。
何があるか分からないから、早々に店を閉めて家から出ない人も多い。
そうか……それなら目撃者がいなくても不思議はないかも。
「警部、遊月の日にいなくなったのは本当ですか?」
「ん?ああ、確かだよ」
「………」
ふぅむ。そんな感じにまたカナトさんは思考の彼方へ。
嫌々言いながらもしっかり考えますよねカナトさんって。
「アシス・ケラントに悩みとかそんなものは?」
「楽器が上達しないとか、成績が下がったとか、そんな愚痴はこぼしていたみたいだけど…これって決め手はないなぁ」
「それ、誰に誰が尋ねました?」
「親族とか友人かな。尋ねたのは僕だけど」
「なるほど。ではティア君、君の数少ない特技を生かす時です」
失礼な。
にっこり笑顔でこちらを見たカナトさんに溜息しながらも尋ねる。
「何をすればいいですか?」

