うんざりとした顔のカナトさんと一緒に、私は警部が運転する車に乗っていた。
「長年の付き合いから、カナト君は迎えに行かないと動いてくれないと学習したからね。ちょうどよかったよ」
「そんな下らない事学習する暇あったら、事件を華麗に解決する学習でもしていて下さい」
そっぽを向いたままカナトさんは言う。
私はため息をして手帳を手にした。
「それで警部。これから行くのは第一の行方不明者の現場と聞きましたけど・・・その行方不明者の方ってどなたなんですか?」
「ニュース、見てないのかい?」
「記憶に留める程食い入って見てませんよ。こんな事になるとは思いもしてませんでしたから」
「どっかの警部とどっかの助手さんのせいで、関わることになりましたけどねぇ」
警部と二人そろって何も言えず黙る。
「・・・・・・えーっと・・・ごほんっ。第一の行方不明者はアシス=ケラント。ソラエ大学の短期学部を今年卒業する予定だったんだ」
わざとらしく気を取り直すように咳払いをした警部。
カナトさんに渡された写真を、私も後部座席から身を乗り出して拝見する。
ベリーショートの似合う、少しキツメの印象の女性だが、泣き黒子とかセクシーだと思う。