俺を呼ぶ声が、いつもより何倍も高く、こっちの声が地声なんだな、と思った。


絞る様な、震える声。



「やだっ・・・・・・・・」

「何、そんな可愛い事言えるの・・・・?」


珠のような汗。

俺の腕に食い込む爪。



(やっぱ女の子だ・・・・・・・・・)




触ったら、もう解る。

誤魔化し通せない。


「収容所は、もう無理があるね・・・」

「仁ッ・・・・・・・・!!」



自分はこんなに苦しい思いをしているのに、なんでてめえは涼しい顔してるんだ、って眼だ。


と、空羽の手が伸びてきた。


ガリッ。


「・・・いて・・・・」


空羽の伸びた爪が、俺の胸を引っ掻いた。

そして、傷口から垂れた血を見て、空羽が苦し紛れに笑った。



(猫みたいなことして・・・・・・・)



気性が荒いところも直さないと。


あと、すぐに手が出るところ。



「もう、いやだ・・・・・・」



「ん・・・・・・・・・・・?」



そうだよ。


俺は父親代わりなんだから。