「お元気で!!」
手を大きく振って、涙を拭いながら声を張る。
「香織ちゃんも」
無花果も手を振り返す。
「またな」
「一発芸考えとけよ」
口元を浮かべながら、零は小さく手を振った。
玄関から、2人の姿が小さくなった頃。
「あーあぁ。本当に行っちゃった」
「式はあっちで挙げんのかな」
「いいなぁ」
ふわり、と無花果の髪を指で絡め取る。
「髪、弄らせろよ」
「上からだね」
「上だろ、実際に。」
「背は関係ないじゃん」
そのまま、ぐいと髪を引っ張ったままエレベーターに押し込んだ。
騒ぐ無花果を他所に、最上階の美容室に入った。
「えー・・・・・・・髪結ぶの嫌い」
「いかにも髪を切りたいと言う顔してるもんな」
「零髪伸びた?」
「切ってねぇなそう言えば」
椅子に座らせ、零は無花果の髪を梳く。

