――少し前から考えられていた、律と香織の結婚。
いつでも出来たはずだが、律は仮にも大企業の社長だ。
国内で、更に海外にも分社がある中、容易に結婚など出来る状況ではなかった。
そこで、律は自分が海外の会社に就き、、兄である零に頼みに頼んで、日本の分社と本社を任せたのだった。
そして今日。
「香織、そろそろ時間。」
「・・・・・はい、」
時計を確認した律は、涙腺が緩くなっている彼女を急かした。
「烈、分社と本社は頼んだ。そっちこそ仲良くやれよ。間違っても喧嘩はしねぇようにな」
此処が壊れる、と苦笑する律。
「五月蝿い。お互い様だろ。」
大分強引に次期社長を押し付けられていた零は不機嫌のままだった。
それでも律は大して気にした様子も見せず、冗談を言う。
「空港行って、それからアメリカ行きの飛行機に乗る。また落ち着いたら連絡でもするぜ」
「あぁ」
部屋を出る律と香織の後につき、零と無花果は見送る。
「今度海外の会社と競争でもしねぇか?」
「ハッ、冗談」
「俺が勝ったらお前一発芸な」
「余裕」

