「何でこうなったかな・・・・・・・・・・・」
今や荒地と化している都会だった地を見下ろした。
誰にも使われず、崩壊寸前のビル。
公園の木々は枯れて。
街とは正反対の真っ青な空には鳥が居ない。
垂れて使えなくなった電線が哀しく揺れた。
人が、居ない。
死んだのか、或いは他国に避難したのか。
(これじゃあただの無駄戦争だったな)
政府を狙ったのは良いが、狙いである政治家は既に自殺していて居なかった。
こうなったら、ブレーキがかけるにかけられなくなった、暴走車の様にただ暴れただけだ。
(私には何も無くなってしまったわ・・・・・・。有能である仁叉も亡くして、子供達も手の届かない所へ行ってしまった)
ゆったりと、吐き出した紫煙が鼻を掠める。
夏、と言う季節に近付いた日差しが菖蒲を照り付けた。
風が、慰める様に頬を撫でる。
(アイツに娘を取られるのは癪だけど、あの子とあの男の間に誰も入れない)
二人の行方は、どんな血生臭い未来が待っていようか。
犯罪者と、犯罪者。
人を殺めた二人が人を愛でる事などできるのか。

