□ □ □



(まぁったくアイツは・・・・・・・・・・・・)





地下牢から続いている血痕を拭いながら、頼り無くなった上司を宥める日々。


龍は、脱走した3人を心底恨んだ。






「・・・・・・・あーやめさん?いつまでしょげてんすか」

「馴れ馴れしい。黙って掃除してな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・可愛くね」

「あ?」



こう、以前よりか弱く、かつ尖ってしまったのだ。
秀麗な顔はこれでもかと顰められていて、口には煙草。手元を見れば大量の吸殻。




「何かの病気になりますよ。」

「ハハン上等」

「また無理矢理空羽でも連れて来ましょうか?」




脱走劇のあの日から、菖蒲の頬に涙の痕があるのを龍は知っている。勿論、本人も拭く気力が起きないだけでそれをからかう龍を何度も殴ったが。




「・・・・・・・・・・・・・・いい。」



その答えは意外にあっさりとしたものだった。
あまりにも素直だったので、龍は菖蒲を覗き込む。



「意外っすねー」

「五月蝿い。それに、ガキらもそんなやすやす見つかるとも思えないし」



ぐ、と吸い終わった煙草を押し付け菖蒲は立ち上がった。