+Black Blood.



顔を上げれば、濡れて滴った目が覚める鮮やかなオレンジ色の髪。

高い鼻立ち。


今日は黒色の目なのか、と空羽は思った。





「仁叉ね、」


薄い唇が開かれる。




(もう予感はしてたんだ、


聞きたくない)









「死んだよ」




掠れた低い声で、脳に叩きつけられるような言葉を残酷に吐く。




「っ」



動揺なのか、水面が揺れた。



規則的に波立った後、天井から冷たい雫が落ち、空羽の肩に落ちる。




「死ん、だ?」


(予想はしてたのに)


「・・・・・あぁ、戦争・・・っつーか、あの争いで。」



(何だこの、喪失感)



「でも、あの少数の中で東部が西部に劣らなかったのは、仁叉の暴れのお陰だと思うぜ」




涼の声が届かない。