光が通らない深夜。 隣の牢屋からは人が歩く音がする。 鉄格子の向こうに何かの虫が這っている。 遠い窓からは、車の音。 自分からは、なんの音も無い。 心臓だけ、規則的に動き続けている。 身動きをとると、ズキンと痛む身体に顔をしかめた。 「・・・・・・・・・・・・・兄さん・・・・・・」 遠のく意識の中、青年は呟く。 思い出すように。 __________ ________ _____ __ _