「結婚してんのアンタ!!」


菖蒲がソファから身を乗り出して尋ねる。


「・・・・・・一応っつってる。第一、仁叉を見てないし・・・・・・・・・・・」

「そ、ら?」


仁叉を見ていない、と言うことに対して悲しんでいる空羽を見、羽牙祢は再び目を見開いた。



「だって、仁叉だろ?お前が最も嫌いとしてた、」

「仁叉はきっとああやって私達を育てたのは、理由があったんだよ、きっと。」



兄の痣が出来た手首を撫でる。


「・・・・・ふぅん。こう見ると、あんたら似てるねー。自分で産んどきながらだけど、流石双子。」


顎に手をやり何やら納得する菖蒲を横目で見つつ、すっかり元気が無くなった兄に耳打ちする。


「ねぇ、アレって本当に私達の親?」

「・・・さぁ。まぁでも似てるっちゃあ似てるだろ。親とは信じ難いが・・・」

「だよね。今更だし。」

「ねぇねぇ二人共耳打ちのつもり?ばっちり聞こえてんだけど」



顔を上げると直ぐ近くにあった菖蒲の顔に、二人して後ずさる。



「え?何?私が本当に親かだって?んなもんDNAでもなんでもしたら分かるわよ。私が腹痛めて産んだガキなんだから」


「・・・・俺ら17、8になるんだぜ?今更親ですって現れても他人の目でしか見れねぇよ」


眉を寄せ、嫌悪感丸出しの目で見上げる。
それを見て、菖蒲は溜め息をつき龍を部屋から追い出すように手を振り、目線が合うように座った。



「・・・・生い立ちでも話そうかしらね」




その真剣な表情に少し黙る、二人。