「私、逃げるね。」



龍の顔が空羽の肩に乗る。


「は?」

「そこに連れてかれたって、私逃げるから。」

「逃亡宣言?それとも自白?」

「どっちも。」



乾いた空羽を抱え上げ、再び部屋に戻りベッドに座らせる。


「ホラ、服。」



どこからか取り出した服を空羽に着せ、先程の話を促した。


「私は母親なんかに会いたくないし、会う必要も無い。私はこのまま外に逃げて死ぬ方が似合うかなーって。」



最近笑わなくなった彼女の口角が上がる。


「似合う?の垂れ死ぬのが?」

「私そうやって道端で何回も倒れて、拾われて生きてる身だから」

「へぇ」



するりと空羽の腕が首に巻きつく。

それを合図に龍は空羽の膝裏に手を回し、持ち上げた。



「・・・・・・・んなら行くか。俺の仕事場兼お前の母親の場所へ。」

「え、そうなの?」



龍の肩に頭を乗せながら、そう暢気に呟いた。