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「りゅう、」


水が滴る髪を掻き揚げて、そろそろやってくる彼を待つ。


少しすると、空羽の姿を見て苦笑する龍が来た。




鏡が割れ、タイルに破片が転がっており破片を踏んでしまった足は血だらけ。足どころか何故か拳も血だらけで。


「・・・割ったの?」

「手があたっちゃっただけ」


表情を変えないで、龍の首元に擦り寄り答える。

そんな空羽に愛着が湧いたのか水で濡れている頬にキスをする龍。



「拭いて」

「なんか我儘になってね?お前」

「そう?」



脱衣所の簡易椅子に座らせて、髪から滴る水を拭く。
糸のような髪は、お互い絡まらずに靡いた。


「龍ってさぁ」

「あ?」

「今日、私をどこかに連れてくでしょ」


雑に拭かれるので目を瞑った空羽。


「・・・・・・勘がいいところも俺、苦手。」

「あぁ、それも母ってひとに似てるの?」

「・・・・、まぁ。」



水が垂れて来なくなった髪を横に流し、体を拭く。




「好きにして、って顔だよなぁお前」

「ここまで来たら、なんか。もう。」



自分の拳から垂れる赤の雫を舐めた。

不快な味に顔を顰める。