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「へぇ?今ッスか?・・まぁ、いいスけど・・・・どんな状態でも怒らないッスよね?」
気を失った彼女を見遣る。
まだ手首が拘束されたままだったので、電話を顔と肩で挟み、強引に千切る。
「んー・・・・・・・例えば、
・・・・足腰使えない、とか・・・・・」
途端、耳から受話器を遠ざける。
鼓膜が破れないようにだ。
「・・・・・ハイハイ。分かってますって。で、どうすか?そっちは。」
ぎい、とベッド淵に腰掛け、彼女の頬に張り付いた髪を払う。
汗と、涙が凄い。
「そんじゃ、明日には行きます。・・・ハイハイ。そんじゃ。」
多少乱暴に電話を切り、ソファに投げ捨てる。
まだ安らかに失神していて逃走の心配がない彼女を確認すると、シャワーを浴びに腰を上げた。
まぁ、逃げようったってアイツの服は俺が持ってるからいいけど。
そう心の中で呟き、衣類を脱ぐ。
彼女、空羽にとっては絶望の1日目の朝。
今日は、曇りだった。

