+Black Blood.




□ □ □



それからも時は経ち。


春から初夏になり始めた頃。







ガチャ、ガチャン。




龍の部屋で、無花果ただ一人が動いていた。

その表情は、冷たく。




脱がされた服を着て、落ちている靴下を履く。
ぐしゃぐしゃに乱れた長髪はそのままで。
それと隠されているようにあったナイフを靴下の間に忍ばせて。


靴は無いから裸足でいいか、とそのまま玄関に立った。



「っぐ・・・・・・・・・・・」


想像通り鍵がかかっているドアノブに、体当たりをする。
体に痛みは走ったが、代わりに呆気無く金具の一部が落ちた。



ガチャ・・・・・・・・・・・・・・・、




恐る恐る、ドアに手をかける。


「そ、と・・・・・・・・・・」



嗄れた声で、やっと呟けた言葉。

生暖かい風が頬を撫でた。





一歩、恐る恐る足を踏み出す。



マンションから全速力で飛び出し、少しだけ歩いた所で空羽は外を見渡した。