『俺、仁叉くん嫌いー。見下してて、感じ悪ぃし。』
彼の口から“仁叉”がよく出る事に関して、無花果は親密な関係なんだろうな、と考えた。
勿論、あの仁叉を軽々しく名前で呼ぶ輩は限られているし、呼ぼうとすれば命も危ない。
『・・・・・いっ・・・・・・』
急にがしり、と二の腕を掴まれ物色される。
『・・・・鍛えて筋肉がついた訳じゃなさそうだな。暴れてたの?色々。』
『はっ・・・・・・・・まぁ、前科持ちかな・・・』
上から物を言う態度が気に食わなかったのか、無花果は手を振り解こうとして身を捩った。
『へぇ。
ねぇ、抱いて良い?』
『・・・・・・あんた何もしないって、言った・・』
『軽薄な嘘。』
唇の端を浮かせ、妖しく笑う。
その顔が何処か、零に似てるなんて無花果は言葉にも出せなかった。
ぐい、と掴まれた二の腕をそのまま頭まで束ね、首筋にキスを落とされる。
ギシッ・・・・・・・・・
軋む、ベッドの音。
龍と空羽が始まった、関係。

