+Black Blood.



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2年前、冬。


『・・・・・・・・・・お前、薬使ってんな』


長い睡眠から目覚めた隣人の第一声。


『・・・・・・・薬物、の匂いがする』


無花果に近寄り、鼻を澄ませる。


『犬みたい。何で分かったの』



あぁこないだの薬はまだ切れていないのか、と内心不機嫌だったが無花果は彼の鼻の良さに素直に驚く。



『ちょっと仕事で鍛えられて・・・・・・・・・』


どんな仕事、とは聞かない。
無花果自身も自分の正体を言える立場じゃなかったからだ。


『・・・・・・・・・・ふぅん・・・・・・』



興味無さげに、カーテンが閉まっている窓を見遣る無花果。
に、興味が沸いたのか突然無花果を抱き抱えた隣人。



『?!』


『お前、仁叉と一緒に暮らしていたっぽかったけど、仁叉の何?』



目線が同じ状態で尋ねられる。
逸らせない視線を絡めて、穿つ様に。


『・・・・・・仁叉は、私の事をお嫁さんって言った』

『ブフー!!アイツッ・・・・あの冷酷男が・・・・ッ!!こんなちっさい女と結婚してんの?!ヒャハハハハハ!!』


目先で整った顔を歪め下品に笑う隣人を嫌悪感丸出しの顔で睨む。



『まぁ・・・・・・でもお前は普通の女じゃないよな・・・・。筋肉もついてるし、余分な肉も無いし。結構ヤバい匂いしてんのに薬中じゃねぇしな。何で鍛えられてんだか?』


『っい、』



目線が同じ高さのまま大きいベッドに投げ入れられる。



安っぽいベッドのスプリングが鳴った。