「そうよ。私が生まれた頃に、その政治家が弱肉強食の世界を作り上げて、女を産んでしまった母も殺されたわ。最後まで闘っていた父も。
・・・・・育て親が話した話だけど。」


分からない、分からない。
どうして女は非力な物なのか。


苦しそうに呟いた。


「・・・・抵抗しようたって力じゃ敵わないし、身分階級みたいなものじゃない!貴女はそんな男達に恋ができるの?」



落ちそうなほど大きい眼球を見開いて、香織を見遣った。が、彼女が笑っていたのものだから少し驚き、口を噤んだ。


「・・・・そう言う男性だけじゃない、って事も知りました。なんて言ったって、私を救ったのは男性でしたから」

「男なんて卑劣なだけよ・・・。欲を女で満たして、物のように扱って利用する。私はもう何も信じられないわ」



正論をはっきり言う香織に苛、とするように低くした声で吐き捨てる。



「・・・・・そうね・・・・・・御免なさい、こんな何も知らない私が口を挟んでしまって・・・・。本当申し訳無いです。・・・・気分を悪くされたようだから・・・・帰るわ・・。」




泣きそうな表情になる女を見て、香織は立ち上がった。



「・・・いいえ、久し振りの同性者に会えて嬉しかったわ。お姉さんは何か知りたそうだから教えてあげる・・・・。この上の階に、私の友達が居るから少し行って見たら。」




薄い布で、顔を覆う。


それを申し訳無さそうに見遣り、上へと続く階段に足をかけた。





かつん、かつん・・・・


薄暗いビル内に、場違いなヒールの音が響く。





「ッ・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」


2階へ足を運んだ時、香織は息を呑んだ。