+Black Blood.




□ □ □



一方その頃、香織は休暇を貰い外に出ていた。


私も世界を知ってみよう、と言う上司思いの発想からで。





「う・・・・・・・・・・・、」


廃墟ビルの2階。
無人だと思わせるほど灯りは無く、物静かなビルに人影があるのを知り、興味本位で入ってみたのだ。


(何、これ・・・・・・・・・・。酷い)



高いヒールで、古びた床を鳴らした。




「・・・・・・・・あ、の・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」



香織の前には、女と思われる人間。


だが、服は冬だというのに薄いワンピース一枚に、薄い布で包まっている。
髪は長く、真っ黒だ。



「だ、れ。」


「・・・・・・・・・・、」


細く窶れ、腕は青白く骨の様。



「・・・・・・娼婦でもしてたのですか?」

「・・・・・・・・・・・何、それ。当たり前でしょう?」



身形のわりには整った顔立ちで、乱れた服装を見るとそれらしく思えた。



「・・・・当たり前、ですか・・・」

「お姉さんは、そう言う仕事じゃ無さそうね・・・・。もう、自分が女で生まれたことを酷く後悔しているわ。散々弄ばれて、自分一人ろくに物も食べるお金も無いもの」


気だるそうに、壁に寄りかかる。
そして、自暴自棄に吐き捨てた。


「生きてる意味も無いのに何で生きてるのかが分からなくなったわ」



かつ。

香織の靴音が響いた。